No.02
地主から一方的な借地料値上げ通知。断れる?
借地契約・交渉07/18
📖 発端
相談者はツバメさん(書籍編集者)。借地の上に持ち家を建てて住んでいるところへ、地主から一方的な借地料値上げの連絡が届いた。できれば断りたい。自分で調べて「賃貸住宅の家賃と同じで、借地の値上げも断れるらしい」ところまでは分かったものの、①この認識で合っている? ②断って今まで通りの地代を払い続ければいい? ③地主が納得しなかったら誰に相談?(弁護士?不動産屋?)と不安が残っている状態。
💬 やりとりの流れ
たくFIREさんは結論から。「認識はおおむね正しい。地代も家賃も『一方が通知しただけで自動的に上がる』ものではなく、原則は当事者の合意で決まる。借地借家法11条で地主には一定の要件のもと増額請求権が認められているが、借主側には『その条件には応じない』という選択肢がある。今回のような一方的な通知に対しては、合意しない旨を明確に伝えて、これまでどおりの地代を支払い続ける対応でよい」と、法律の根拠つきで3つの疑問に全部回答。
🏁 着地
ツバメさんは「値上げには交渉・拒否の余地があると分かって安心した。相手側の出方を見ていればいいのですね」と納得して終了。
🐺
本音の学び: この相談、立場を裏返すと「上げる側」に回ったときの教科書になる。通知一枚では地代も家賃も1円も上がらない——つまり値上げは「通告」ではなく「交渉の開始の合図」。上げたい側は、周辺相場や固定資産税の上昇といった「増額の根拠」を揃えて初めて土俵に乗れる。根拠なしの通知は、この相談者のように調べた借主に軽くいなされて終わる。まとまらない場合の次の駅は裁判ではなくまず調停、というルートも頭の片隅に。
No.03
遠方の相続土地、家族全員「タダでもいいから手放したい」
相続出口07/19–20
📖 発端
相談者はハイビスカスさん(相続人の長男・58)。2025年12月に父が亡くなり、相続人は母(82)・長男・長女(55)・次男(52)の4人。遺言書はないが、生前の希望は「土地を処分してほしい」。物件は鹿児島県伊佐市の宅地367㎡+畑455㎡(畑は非農地通知が届いて地目変更予定)、評価額は宅地約180万円・畑約2.4万円という、遠方・辺鄙・低評価額の三拍子。家族は「タダでもいいから処分したい」で全員一致。ただ相談者は現役で仕事をしていて、この件に時間を割けないのが悩み。
💬 やりとりの流れ
たくFIREさんはまず全体方針を提示。「この内容なら相続税の納税は基本的に心配しなくてよい水準(正確な税額は税理士の個別計算前提)。重要なのは①誰を相続登記の名義人にするか ②売却後の代金をどう扱うか ③手続き実務を誰が担いどこに外注するか、の3点。名義は共有にせず、売却手続きを主体的に進められる人の単独名義にまとめるのが実務的。遠方物件こそ『動ける人』が決まっているほうがスピードもストレスも有利」
ハイビスカスさんが重ねて質問。「専門家に一括でお願いしたい。地元の司法書士に頼むのがいい?相場はいくらくらい?」
たくFIREさん「相続登記は司法書士へ。費用は報酬部分と登録免許税部分があり、事案により差があるので直接確認を。売却は地元の不動産屋へ」と窓口を2つに整理。
🏁 着地
「方向性が見えてきました」と納得。単独名義に登記を集めてから、司法書士+地元不動産屋の二本立てで処分を進めることに。
🐺
本音の学び: 遠方の低評価額土地の出口は、物件の魅力ではなく「登記を単独名義に集める」が全ての起点。共有名義にした瞬間、売る・貸す・壊すの全部に相続人の数だけハンコが要り、次の相続でさらに枝分かれして詰む(母82歳=二次相続は時間の問題、という視点も裏にある)。「将来は全部売却」という出口を持つ大家にとっても構図は同じで、出口の速さは物件の良し悪しより「名義と書類の整理」で決まる。資産の手入れ=登記の手入れ、という回。
No.04
1K・18㎡の入居者「夫が来日するので同居したい」
〔管理会社〕入居管理07/23–24
📖 発端
相談者はnekodocさん(アパート経営中)。2年ほど入居している外国籍の方(家賃滞納などの問題なし・保証人は大学職員)から、「夫が日本に来るので同居したい」と管理会社経由で相談があった。部屋は1K・約18㎡・家賃3.3万円。絶対ダメとまでは思わないが、①1人認めるとさらに増えても困る ②生活音の増加で他の入居者に迷惑では、と懸念。本人としては「身分証の提出は絶対として、家賃や共益費を上乗せして許可する案」も考えつつ、経験者の意見を求めた。
💬 やりとりの流れ
たくFIREさんは論点を掴み直すところから。「国籍よりも、論点は『1K・18㎡という狭い部屋で2人入居に増えることをどう扱うか』。結論から言うと、私ならこの条件では同居を認めない。1人入居前提の1Kに2人入ると、生活音・荷物量・水回りや設備の消耗が一気に増えやすく、他の入居者への影響も出やすい。この部屋はファミリー向けではなく単身前提の性格が強いので、『この物件では同居は想定していない』と整理しておくのは十分自然」
🏁 着地
nekodocさんは「周囲への影響が大きそうなので、お断りする」と決断。上乗せ許可案は採用せず。
🐺
本音の学び: 「いい人だから」「家賃を上乗せすれば」で例外を作ると、その例外が次の入居者への前例になる。判断軸を人柄ではなく「物件の設計(単身向けか、ファミリー向けか)」に置くと、断る理由も説明もブレないし、感情のしこりも残りにくい。もうひとつ——この相談は管理会社経由で来ている。「うちの基準」(同居可否・楽器・ペットetc.)を先に管理会社へ渡しておけば、一次対応で止まる話でもある。基準表を共有しておくと、大家の電話が鳴る回数そのものが減る。